

シュワルツとウイッテン
シュワルツとウイッテン
超ひも理論には、生みの親、育ての親と目される2人の「父」がいる。ジョン・シュワルツとエドワード・ウイッテンである。
シュワルツは1970年代、完全に孤高の人であった。彼が提唱したひも理論は一部にはある種の期待感をもって受け止められていたが、大部分は「妄想の類」と冷ややかに見ていたという。
『ファインマンさん最後の授業』には当時の様子がヴィヴィッドに描かれている。御大ファインマンのひも嫌いはことのほか有名で、シュワルツのひも理論を、「ナンセンスな理論」と決めつけていた。その大きな理由には、ひも理論が10次元時空を要求することがあった。
カリフォルニア工科大学のセミナーで、ある日講義をしたシュワルツに向かって、セミナーに参加したファインマンは、こんな痛烈なヤジを飛ばした。
「おいシュワルツ、今日の君はどこの次元にいるんだ?」
ただ、『ファインマンさん最後の授業』の叙述で興味深いのは、シュワルツは、ひも理論が断然不利な状況下でも、「矛盾を取り除くような数学的な奇跡が起きる」と考えたことだ。というのは、数学的な奇跡こそ、シュワルツともう一人の超ひも理論の父、ウイッテンとの偶然の出会いを導くことになったからだ。
超ひも理論が矛盾のない理論として登場するためには、「アノーマリ」と呼ばれた対称性の異常をを克服しなければならなかった。シュワルツはこのアノーマリが超ひも理論では解消されることを示し、84年、超ひも理論は大きな話題を呼んだわけだが、実はこの少し前、10次元時空におけるアノーマリを数学的に示し、問題点を指摘したのがウイッテンだったのである。
さて、二人の近況だが、ウイッテンは最近、超ひも理論になぜか興ざめし、「なんでこんなつまらないことをはじめちゃったんだろう?」というようなことを言っているとか。
一方シュワルツはすっかり有名人になったが、超ひも理論の研究は続けているという。生みの親はやはり、超ひも理論の最終定義の完成した姿を見届けたいのだろう。
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